大判例

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東京地方裁判所 昭和43年(ワ)4094号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(一) 運行供用者責任について、

1 原告らは、被告会社が右責任を負担すべき根拠として、第一に被告会社が加害車の所有者であることを主張するが、右事実を認めるに足りる証拠はなにもない。

2 次いで原告らは、被告会社の主張を受けて、加害車が分離前の相被告たる城東建設の保有するところのものであつたとしても、城東建設は被告会社の専属的な下請人なのであるから、加害車に対する運行支配はなお被告会社に帰属する旨主張するので、この点について判断する。

<証拠>によれば、被告会社は、丸磯組株式会社の土木部門から独立して設立され、掘削・宅地造成工事の請負を主たる業とする資本金二八〇〇万円の会社であり、一方城東建設は、残土運搬等を業とする資本金一〇〇万円の会社で、本件事故当時全仕事量のうち約五〇パーセントが被告会社からの下請工事によつて占められていたこと、加害車は、昭和四〇年九月ごろ被告会社が城東建設に売渡したもので、その代金は下請工事代金と相殺勘定され、また、自動車検査証の使用者名義人および自賠責保険の保険契約者は被告会社のままになつていたこと、城東建設の使用する十数台のダンプカーのうち三、四台の車体には「丸磯ソイル」という被告会社のマークが表示されており、加害車はそのうちの一台であつたことが認められる。

以上の事実によると、被告会社が城東建設に対し強い発言力を有していたことは疑う余地がない。

しかしながら、証拠上、被告会社が城東建設に対し出資をなし、役員を派遣したことはもとより、事務所などの営業財産を貸与し、あるいは自動車の保管場所を提供していたなどの事情をうかがわせるものはなにもないのみならず、右各証拠によれば、被告会社の下請先は三〇〜四〇社に及び、城東建設はその一つにすぎぬ半面、前認定のように城東建設の全仕事量のうち被告会社からの下請は約五〇パーセントであつて、両企業間に緊密な一体性を肯定することはできないこと、また城東建設が被告会社の下請作業を行うにあたり被告会社自身の関係者が現場で指揮監督に当つたことはなく、作業は専ら城東建設の責任において遂行されていたこと、加害車は、当初東京日野ヂーゼルの仕事をした竹中工務店が請負代金の代りに受取つたのを下請人たる被告会社に買い取らせ、これを更に被告会社が城東建設に買い取らせたものであつて、被告会社は、必ずしも城東建設の企業内容の強化充実を計る目的でこれを譲渡したものとはいえず、また、代金完済と同時に名義変更の手続をする運びになつていたこと、などが認められるのであつて、これらの認定事実から見ると、被告会社が一般的に城東建設を支配し、その専属下に置いていたものといえるかどうかはなはだ疑問である。

のみならず、<証拠>によれば、被告岡田は、城東建設の被用者であつて、被告会社との間には雇傭関係がなかつたこと、本件事故は、被告岡田が城東建設の運転者として熊谷組の下請作業に従事中発生されたものであることが認められ、これによると、被告会社が事故当時における加害車の運行に対し支配を及ぼしうる地位にあつたとは到底断じえないのであつて、この点からも原告の右主張は理由のないことが明らかである。

3 以上の理由により、原告らの被告会社に対する自賠法三条に基づく請求は失当である。

(二) 使用者責任について

前記のとおり、城東建設は、一般的に被告会社の指揮監督を受ける立場にあつたとはいい難いばかりでなく、本件事故は、訴外熊谷組の下請業務の執行中に発生したものであつて、被告会社の業務とは関係がなく、したがつて、被告会社が事故発生当時城東建設の被用者である被告岡田の行動を間接的にも指揮監督しうる余地はなかつたのであるから、被告会社と被告岡田との間には、民法七一五条一項にいう使用者と被用者との関係を欠いていたというほかない。

よつて、原告日の丸タクシーの被告会社に対する同法同条に基づく請求も失当である。(倉田卓次 並木茂 小長光馨一)

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